ハッピーハードコアってなに?
wikipediaによると、
ハードコアテクノの音楽のジャンルの一つ。イギリスの地方都市を発祥の地とする。 これより発展し、進化したジャンルをUKハードコア(UK HARDCORE)と呼び、現在の主流となっている。
とありますが、日本語wikipedia「ハッピーハードコア」の項目は最終編集者がDJGENのため定かではありません(2019/9/6現在、複数編集が加わってより正確で読みやすい内容に変更されておりました。読んでみてネ)。定かではありませんが、注釈なしリンク飛ばしなしで簡潔に、とてもわかりやすく噛み砕いて紹介したいと思います。
ハッピーハードコアという言葉
「ハッピー」は嬉しい、楽しい、幸福などという意味ですが、「ハードコア」は極端に露骨、徹底、筋金入りという意味。
なぜ?「ハッピー」と「ハードコア」、エロ本と教科書のような単語がくっついて、当然のように佇んでいます。
ハッピーは文字どおりの意味であり、楽しげな音を表現しています。
ハードコアという部分は、「ハードコア」という音楽が元々存在していたのです。
舞台は30年前のイギリスに移ります。
セカンド・サマー・オブ・ラブの終焉
1980年代、イギリスで「セカンドサマーオブラブ(The Second Summer Of Love)」という流行が生まれました。
イベンターやプロモーターではなく、お客さんが主体となって、誰にも邪魔されない廃屋や倉庫で音楽イベントをやろう、お金稼ぎではなく、自分たちが楽しい場所を作ろうと、イギリスの若者は躍起になって取り組んだわけです。
このイベントを「レイヴ(RAVE)」と呼びます。
当時蔓延していた「エクスタシー」という最新ドラッグのリラックス&連帯感の効果も手伝って、大々的なプロモーションをするわけでもなく、口コミやチラシだけで毎週末に何千人規模のレイヴァー達が集まって、無名アーティストのアシッドハウスと呼ばれるジャンルで半狂乱になり踊り明かしていたと言われています。
ですが、セカンドサマーオブラブも下火になります。
公的な許可を得て入場料を高くして有名なDJを独占してお金稼ぎをした人、質の悪いエクスタシーでもみんな買うので質を落とした人、ドラッグの流行は問題だからレイヴの開催を禁止する法律を作った人、いろんな原因がありました。
セカンドサマーオブラブは社会問題にもなる巨大な規模の流行でした。
終焉後、レイヴァー達は一つ屋根の下からあふれ出したのです!
首都のジャングル・地方のハードコア
ロンドンなど首都周辺では「ジャングル」と呼ばれる、レゲエのディープで粘性のあるベースラインを強調した楽曲に対して、イギリスの地方都市では明朗なピアノとシンセサイザーが鳴る「ハードコア」の二極化が発生したとされていますが、DJGEN的にはこの時代の暗くてジメジメしたハードコアもいっぱいあってかっこいいし、わかりやすく美化した話っぽくてなんとも納得できませんが、そういうことにしておきましょう。
セカンドサマーオブラブ時代の音楽は「アシッドハウス」という、いわゆる4つ打ちのリズムがプレイされていましたが、その後はファンクが持つブレイクビーツのエッセンスを取り入れつつ、今まで主流だったBPMよりもずっと速い音楽に発展しました。ブレイクビーツを入れて速くするという点では、ジャングルもハードコアも根本的な考え方は一緒です。
この時代のハードコアを「オールドスクール(OLDSKOOL)」と呼んでいます。The Prodigy – Charly時代です。
1990〜1993年ぐらいの期間で、音源の量がえげつないほど多いため爆発的なリリースラッシュが続いていたことが伺えます。「掘っても掘ってもキリがなく、掘れば掘るほど沼に嵌る」「レーベル面に何も書いてないレコードや、Unknown – Unknown(作曲者・曲名不詳)がヤバい」と、仙台で20年近くオールドスクールをプレイし続けている第一人者のDJ Masao先輩は語っています。
当ブログ的には、1992年リリース、DJ Edge – Compndedをオールドスクール時代の代表曲として掲載したいと思います。
(余談ですが、レーベルの品番が001の盤は大体がとてもいい曲。立ち上げる際の気合が感じられます。)
聴いていただければわかる通り、オールドスクールは曲の構成が複雑なんです。突然ドラムが鳴らなくなったり、中途半端な長さのフレーズが入ってきたり、DJの立場からすれば、曲を覚えなければいけないため一度のミックスだけでもとても苦労します。
ハッピーハードコアの原型
オールドスクールがレイヴァー達を熱狂させる中、後のハッピーハードコアの原型となる楽曲がリリースされました。
SMD#1は1994年リリースですが、ハッピーハードコアと呼ばれる楽曲のほとんどがヴァース→コーラス→ヴァースというわかりやすい展開で、今後この構成で作られていきます。(アーティストによって多少のアレンジはありますが)
踊る側になれば、お客さん同士一緒に盛り上がるタイミングが掴みやすく、明るいフレーズが一気に増えた時期もあり、この94年以降ハッピーハードコアという言葉が生まれ始めたのではないかと見ています。(当ブログではブレイクビーツが鳴るハードコアは「オールドスクール」と呼びます。この辺の楽曲は人によって呼称がかなり曖昧です・・・)
“GOLDSKOOL”黄金期の到来
ブレイクビーツが主体で140〜160BPMが多いオールドスクールですが、95年以降グッと四つ打ちが多くなり、BPMも170〜180に落ち着きます。楽曲自体は落ち着きないけどね!速いし!
ポップでエネルギッシュでよりわかりやすく単調な構成に変貌したため、そういったサウンドの楽曲を「ハッピーハードコア」と呼んでいます。96年、97年、98年、99年周辺に集中してリリースされており、この時期のリリースラッシュも目を見張るものがあります。ダークな雰囲気が完全に取り払われて、ボーカル楽曲が増えてよりポップな要素が多くなったことにより大衆的に受け入れられる音楽になりました。
そのことから、オールドスクールを文字って「ゴールドスクール(GOLDSKOOL)」と呼ばれることもあります。東京ハッピーハードコアレジェンドのDJ EVILさんがそう呼び始めたと聞きました!EVIL先生!
この後にトランスコア・ハードエナジーの流行が訪れ、UKハードコアと呼ばれる現在の音楽へ変貌していきます。雑。
(ちなみに96年以降あたりもブレイクビーツ主体のハードコアがリリースされてて超カッコいいです。ブレイクビートハードコアって呼んでます。これも曖昧だよね〜)
ハッピーハードコアは最高
「ハッピーハードコア」自体、UKハードコアを含むそういう音楽の総称だったり、音楽ゲームの楽曲を指したりだったり、ハードコアパンクのジャンルを指す言葉でもあります。
このブログではUK RAVEカルチャー内のハッピーハードコアを中心に記事が回っていくよ。
「古い楽曲」「歴史的に覚える必要のある楽曲」というイメージを払拭すべく、ハッピーハードコアにしか存在しない独特の魅力を、ブース以外の場所から伝えられたらいいなと思っているよ。
ハッピーハードコアという音楽自体が持つバイブス・ラッシュ感はもちろん、DIY精神やUNITY精神みたいな文化的な側面も受け取って感じてほしいよ。
よろシクラメン!
わかりやすい解説ありがとうございます❗
好きだったやつが分かりました。
cd買いたくなりました。